2014年度版「猪名川万葉植物園だより」カレンダーに寄せて

つらつら椿株式会社で制作致しております、万葉花カレンダー「猪名川万葉植物園だより」
も今年で4刷目の2014年版ができあがりました。
このカレンダーの制作を思い立ったのは、それまで20余年の長きにわたってお親しく
して頂いていた、山口県下松市の万葉花写真家の岡田憲佳さんが、毎年素晴らしい
「万葉花カレンダー」を制作しておられました。
私もカレンダーに限らず、絵葉書や万葉花を網羅した文庫本や、岡田作品が大好きでした.
「岡本さん、万葉花の撮影は自然光で、朝にだけ撮影するのですよ。」と、自然に咲く
花の美しさや表情を、自然のままに撮り続けることにこだわっておられました。
そして私はいつものように、「岡田さん、今年のカレンダーはいつできあがりますか?」と
お尋ねしたのが3年前です。
お電話の向こうで「岡本さん、もう高齢になってしまって、今年から作るのをやめました。」
とのお返事にはしばし絶句しました。
その後、今年5月にご逝去の報が届き、何とも言えない寂しさがございました。
「万葉カレンダー」がもうないのだというショックと、私も毎年岡田作品を自分の作品の
ように自慢げにご紹介をしていましたので、それを楽しみにしてくださっている方々からの
お問い合わせもありました。
それが「TSUBAICHI猪名川万葉植物園だより」の制作を思い立ったきっかけです。
岡田憲佳さんのカレンダーは、もはや「芸術写真、作品」でしたが、私は恩師犬養孝先生の
ご功績のひとつである『万葉集』を身近に広めることが、万葉カレンダーの魅力、
発信力でもあったと思っておりましたので、なんとかならないものかと思いました。
幸運なことに、大先輩でいらっしゃいますが、同じ犬養先生の門下である、木田隆夫さんが、
定年退職されたのち、自宅の山林に万葉植物を植栽され、今では100種類以上の
万葉植物を愛情を注ぎながら育てておられますが、四季折々楽しめる万葉植物園として、
私たちにも公開してくださっていました。
ひょっとして万葉歌に関わる草木花を猪名川万葉植物園のご協力でご紹介できるのでは・・・と
私が手探りで制作をさせて頂いてからはや4年目となりました。
写真家でもあり、自ら印刷会社を経営しておられた岡田憲佳さんの「カレンダー」には
はるか及ばないものですが、万葉花を愛する私たちの思いを託した、また万葉歌で、
古代人が植物に寄せて詠った心情を少しでも理解して頂けるのではないかとこだわりを
持って作らせて頂いたカレンダーです。
岡田憲佳さんが亡くなられた今、「万葉発信」の遺志を引き継がせて頂いているという
自負を持って、あらためて感謝と追悼の意を申し述べたいと思います。
「岡田さん、ありがとうございました。」
そして一人でも多くの方々に一年を通じて楽しんで頂ける万葉グッズとして
お求め頂ければ、幸いに存じます。
               2014カレンダー.jpg
こだわりの「椿」の表紙は、友人の朝熊純一さんが書いて下さいました。
多くの方々のご協力、愛情のつまった作品ができあがりました。