大和三山を行く!

宝塚売布のコープカルチャーで、年2回の「万葉の旅」を実施している。
制約があってバス旅行ができないため、おおよその目安は「大阪9時頃集合、
歩く距離は6キロくらい、現地で4時頃には解散してほしい」とコープからのミッション
で計画を立ててみる。
第1回目はもちろん明日香村をご案内したが、その後は山の辺の道を近鉄朝倉駅から
4回に分けて、近鉄平城駅まで北上した。また大宇陀のかぎろひの里を訪れたこともあり、
その時の旅の思い出を詠んでくださった安原さんの短歌が「柿本人麻呂賞」を獲得され、
私たちにとってもよい思い出となったことはうれしいことだった。

そして今春は、受講者の希望で「大和三山」に行きたい…と三山を登る?ことに
なった。耳成山139m、香具山148m、畝傍山199mというどれも200mに満たない小さな山で
あるが、コープミッションを満たすことができるか、悩みながらではあったが、割愛も
可能なので、当日、ともかくコースの行けるところまで行こうとスタートした。
前日まで天気予報の状況が悪く、「雨」の予報もあったが、おかげさまで何とか降らず
おまけに、曇り空であったため、太陽の照り返しに遭うこともなく歩けたので、結論から
言うと、大和三山もすべて登り、全コース14キロを歩いた。と言うより、私と違い歩き
慣れておられないカルチャーの方々が、よくぞこの距離を歩いてくださったことの感心と
持久力にしみじみ感謝した。

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巻1の2、舒明天皇が国見をされた香具山の万葉歌碑の前で記念撮影。「天の香具山」です。

さて、大宇陀で詠まれた短歌が入賞された安原さんが、先日「先生にだけお見せします。」と
大和三山を歩いた時の歌を私に下さった。
「世界遺産 登録目指すと 老い人は 耳成山口神社清むる」
「咲垂るる 楝の花の 下に立つ 万葉人の 心となりて」
「紅白の 庭石菖を 愛で行けば 藤原京址 揚げ雲雀鳴く」
「いづこよりか 春蝉の 声しみ通る 橿原神宮 神苑深く」
「万葉人の 心を帯びて 汗しつつ 畝傍山頂 目指して行けり」
「畝傍山に のぼり来たれば 晴れやかに 金剛葛城二上連山」
歌の場面の思い出が、よみがえってくる。本当に素敵な歌日記である。
そして、安原さんが一緒に下さった同人誌に「万葉集を学びつつ」というエッセイを
載せておられた。コープカルチャーの講座の様子や講師の私のご紹介を過分にして
下さっており恐縮したが、学んでいく上で生まれる「さまざまな疑問」について触れて
おられ、「万葉人」の感性に賛嘆しつつ、万葉集へのさらなる探究を楽しみにしておられる。
拙い講師で申し訳なく思うとともに、今後もみなさんの万葉集への期待にそうことが
できるよう、私もしっかり勉強しなくては、とかえって励まされた気分でもある。
2009年秋から始まった宝塚コープカルチャーも、もうすぐ満5年を迎える。
今後もアットホームな「万葉家族」でありたいものだ。

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