備前にて

3か月ぶりの講座は、台風12号の後でもあり、JR線の車窓から恐る恐る景色を眺めて
おりました。
加古川を超え、姫路から夢前川、市川、千種川…と報道で警戒水域に達した危険な「川」の
様子は、何事もなかったように、いつものように穏やかに静かに流れていました。
周辺の稲穂も倒れることもなく、被害を感じるような痕跡がなかったことが救いでした。
よかったぁ。
また、この数日は暑さがぶり返し、いまだにエアコンなしでは寝られない熱帯夜が
続いていますが、備前に到着したのがお昼前でしたが、風が吹き抜け、青空には白雲が
湧きあがり、「秋の風情」満載でした。ふむ。やっぱり違う。
降り立つ西片上の駅の花壇は「ひがんばな」が一輪…。
普通の日より、「お誕生日」の日に「万葉講座」があったことが、私はうれしくて…。
仲秋の名月のことや、天武忌のこと、28日のうたがたりコンサートのことなどもお話
させて頂きました。
10年以上になる備前でのご縁は、私に万葉講座の道を拓いてくださった機会でもあり、
受講生のご婦人は、それぞれお名前も覚えている家族のような親しさです。
「先生に会いに来たんよ!」とか、「昨日、ギブスはずして、初めて外へ出た!」とか
伺うと、本当にありがたく、うれしくなります。
お世話役の方々は、私のバースデーを祝って、お茶タイムに特別に「ケーキ」も付けて
下さいました。ごちそうさまでした…。
こんなに居心地のいい「万葉講座」の備前うたがたりの会の方々に、もっともっと『万葉集』
を楽しんで頂こうと、来年の2月には「万葉かるた会」をすることを決めてきました。
早いっ!
ずっとスケジュールが立て込んでいて、正直には「お疲れモード」で出かけた講座でしたが、
備前についた時からの「空気」「深呼吸」で、元気が出てきました。
そして、みなさんに『万葉集』を語ったり、私の歌を聞いて頂いたりすることで、自分自身が
楽しい時間を過ごしていることに、あることを思い出しました。
犬養先生が大阪産経学園のカルチャーには、ずっと私が随行していましたが、時々、持病の
神経痛がひどくなることがあり、自宅へお迎えにあがった時からすでに「痛い!痛い!」と
先生が悲鳴をあげておられることがありました。
「今日はお休みしましょう!」と申し上げても、「みんなが待っているから…」とか、
「行かなきゃ!」とおっしゃって、「おかもちゃん、会場に着くまで、痛いといわせてね。
でも着いたら絶対に言わないから…」とおっしゃって出発しました。
そして、会場について、控室でも「うんうん」我慢しながら、いよいよ講座が始まると
その苦痛をみじんも感じないほど、お元気に楽しくいつもの講座をなさいました。
一緒にいて、終始ハラハラしている私でしたが、2時間の講座が終わって、「先生、大丈夫
ですか?」と尋ねると、「不思議だね。万葉集を話していると、ちっとも痛くないんだ!」
とおっしゃいます。そんなことが2度3度ありました。
「痛み」を超える、万葉集のパワーに満たされる犬養先生!
朝からの大騒ぎから、こうして驚かされたこの体験は、私しか知らないことだと思います(笑)。
でも私も疲れの極みで、前日までテンションも下がり気味で「頑張らなきゃ」と気合いを
入れて出かけましたが、万葉集の時間空間に過ごし、言えば、自己満足の世界にはまって
いたのかもしれませんが、ひたすら楽しく、元気になりました。
やっぱり『万葉集』には、大きなパワーが潜んでいるのですね。
アラカンに近づく最後のお誕生日。いろんなお恵みに与った一日でもありました。


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