磯のつまま

7月29日、30日と2日間にわたって全国万葉フォーラムin飛鳥が開催されました。初日の懇親会席上で、万葉うたがたりミニコンサートの機会を頂きました。曲は昨年9月の鞆の浦で、新歌碑建立除幕式の記念に作った「わが鞆の浦」と、富山県高岡市の「万葉の母」尾竹睦子さんを追悼して捧げた「磯のつまま」を演奏しました。どちらも初めて聞かれた方が多かった最近の「新曲」披露となりました。P1120596

基調講演をされた慶応義塾大学名誉教授の藤原茂樹先生が、演奏後「磯のつまま」について私に声をかけてくださいました。

民俗学者の折口信夫氏の門下の藤原先生と同じく、「池田弥三郎氏」が、つまま=たぶの木の研究をされておられます。魚津で過ごされた時に、北陸一帯にタブの木が非常に多く、古代の照葉樹林としてのタブの木の森林体系と万葉集では1首しか読まれていないことの不思議もあるようですが、折口信夫生誕100年の記念にご出身の慶応義塾大学にタブの木を多数植樹されたそうです。三田キャンパスが浜離宮に近く、大学と離宮周辺までを含めたタブの木の森を目指されたとか。残念ながら構想は実現しなかったようですが、今でも大学にその時の記念樹や、掲示板があるそうです。それもあって藤原先生は「つまま」の歌を興味深く聞いたとおっしゃってくださいました。「なかなかいい歌でしたね」と言ってくださり、とても光栄でした。慶応のタブの木、訪ねてみたいです。

池田弥三郎さんと言えば、犬養先生を学問上で激しく対立された学者です。藤原先生の貴重なお話と共に、なつかしい思い出も思い出しました。藤原先生とは奈良女子大学でお目にかかった以来の再会でしたが、私が「万葉を歌う」ことを覚えていてくださいました。それもうれしかった・・・です。P1120585

尾竹睦子さんの大好きだったこだわりの場所。渋谿の﨑。つままの木と歌碑のある場所。今秋も訪ねようと思います。国庁跡ではなく「磯のつまま」です。

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