越中悠閑春秋七歳

大伴家持研究の第一人者で、高岡市万葉歴史館の二代目の館長を務められた小野寛先生が、
本当に早いもので、七年間を経て退任されることになり、その送別会にお招きを頂いた。
平成16年に駒澤大学の大学教授から、日本一の万葉集研究施設の館長に転身された時、
明日香村の犬養万葉記念館の若菜祭で「家持とホトトギス」というご講演をしてくださり、
「私は今春から高岡市万葉歴史館の館長として赴任することになりました。大変緊張して
おります…。」というご挨拶を伺ったのが、昨日のことのようだ。
それから7年。小野先生の在任中の平成17年の開館15周年を記念して、「天平万葉」の
企画展があったり、平成21年には、高岡開町400年を記念して「越中国と万葉集」の企画展
など大きな事業が行われ、また、平成19年には犬養孝先生の生誕100年祭を記念して、
企画展示や、記念講演会に稲岡耕二先生を招いてくださり、大変ありがたく嬉しかった。
加えて、小学生へ出前講演、『万葉集』を富山大学の講座科目として招致された尽力など、
精力的に仕事をこなされた密度の濃い7年を過ごされたと思う。
私は犬養先生のご存命の頃から、小野先生を存じ上げているが、寡黙でシャイな研究者と
してのイメージが強かったので、高岡市万葉歴史館でお目にかかるようになってから、
明るい笑顔で迎えて下さり、生き生きと輝いておられる先生を拝見して、びっくりしたものだ。
先生自らがサービス精神を持って「学者」から、館のリーダーとしての「社交性」を意識して
発揮されていたのだと思う。
あまりお好きでなかった万葉朗唱も、万葉まつりですすんで詠われ、楽しまれるようになった。
小野先生にはまだまだ歴史館で頑張って頂きたいと思うが、今年で21年目を迎える歴史館で、
世代交代も果たされた。そして、次期3代目を託された館長は、坂本信幸先生である。
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このたびの送別会に関西から参加したのは、坂本先生と畏れ多くも私だけだった。
そして、挨拶と「高岡旅情」を歌う機会をくださり、壇上では小野先生だけではなく、
歴代万葉3市長が揃われ、会場の皆さんで大合唱した。万葉まつりのテーマソングがこの
ように高岡で行事のたびに歌って頂ける光栄を本当に感謝している。
ありがとうございました。
ブログタイトルの「漢文」は、当日の引き出物の一つである、エッセイ集の題名。
北日本新聞の夕刊で書いてこられたコラムをまとめられた非売品!
帰りのサンダーバードで一気に読んでしまったくらい、大伴家持・家持歌をエッセンスに、
身近な視点で読者にメッセージされた文章だ。これを読んで小野先生が過ごされた高岡での
7年間の生活・体験が、越中における家持を追体験しておられるように思った。
研究者としてもよい時間を過ごされたのだなあとうらやましく感じた。
私も短時間ではあったが、やはり渋谷の崎へ・・・。潮が引いて岩や海藻が目に付いたが、
やはり立山を背景にしたこの景色は、今も私たちを惹きつける。
さて、今度はいつ高岡へ来れるかな・・・。
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