気づき。

思いがけないパンデミックは、世界中の常識や価値観、生活様式を変えようとしている。その真っただ中の生活にあってまず思うことは「言霊」である。日本人に緊急要請をする、国民に呼びかける時に「国語」がおざなりになっていないか。老親と生活する私だけでなく、高齢化社会の日本において老人たちが理解不明の「英語?言語?」説明。文字表記。日本語も専門的な言葉が多く、ほんとうに不親切だ。ドイツが最小限に感染が抑えられているのも、メルケル首相のメッセージによるところが大きいと誰もが評価している。わかりやすく語り掛け、かつ科学的根拠を示しつつ、母親のような説得が国民の心に響いたのだ。説得力は大阪府の吉村知事はすごい。信念に満ちた呼びかけ、語りかけは私たちの心に強く入ってくる。政治家たちが役人の書いた文書を読み上げ、自分の「言葉」を持たないメッセージには「心がない」のだ。たましひが働かないうわべだけの「言葉」。「言霊」がぬけがらとなってしまっている。思えば犬養先生が評価された功績は、まったく『万葉集』に興味のなかった人に平易な言葉でわかりやすく語られたことが、多くの人を万葉の世界に誘い、万葉ファンをたくさん生み出されたことによる。
東京都知事の小池さんんも育ちのよい言葉遣いであるが、具体的に話そうと頑張っているのはわかるが、やはり外国語が日常の会話も含まれる生活環境だけに、横文字言葉やあらたな造語も多い。仕方がないか。今は非常時の対応に実力を問われる時を過ごしている。私たち友人はひたすら彼女の頑張りにエールを送り、体調を心配し、早く日常の日々を取り戻し楽になってほしいと願っている。そしてこの頑張りが、以前彼女が「排除いたします」という言葉が、その言霊が非難を浴び、反対に彼女がその場から排除されることになったことも記憶に新しい。何気なく発した言葉であろうとも言葉は生きている。毎日の小池知事の言葉、説明、表現を意識しながら聞いている私。政治家として本当に都民目線で語り掛けているかどうか期待し祈っているのだ。頑張れラージ!
検察庁人事へのツイッター、連日の政治家の発信、医療従事者以外は振り回されるコメンテーターの話、私たちはあらためて「言葉の持つ力」に感心し、ひいては「言葉のたましひ」によくも悪くも惑わされる「心」を冷静に保っていたいものだ・・・。