11月19日、ハーモニカコンサート

遅ればせのアップが続きます。
高校2年生の天才ハーモニカプレイヤーのコンサートをTSUBAICHIで開催しました。
ご紹介頂き、9月のツバイチ音楽会の時にご家族で下見に来てくださいました。
そして、その時に1曲聞かせて頂いた時に、久しぶりに鳥肌が立ったというか、思いがけず
ドキドキとするような演奏に出会いました。その感動から、こんな素晴らしい演奏会は
めったにない!とみなさんに積極的にご案内をさせて頂き、おかげさまで満員御礼の
来場者に恵まれました。
出演してくださった岡直弥くんは、四条畷の緑風冠高校の2年生です。
クロマチックハーモニカという、右手でスライドレバーを操作して、4オクターブの半音階を
操って演奏できる優れたハーモニカは、私たちが子供の時に小学校で使用した形と違う、
「魔法の楽器」でした。
彼は現在、頂点目指して精進の真っ最中ですが、12歳で世界ハーモニカ連盟日本支部コンテスト
3位を皮切りに、毎年上位入賞を重ね、今年はとうとう、ジャズポップスとデユエットと、
小アンサンブルと3部門で第1位入賞を果たし、総合グランプリの栄誉に輝かれました。
しかし、おごったところのない謙虚な好青年で、その姿にも敬意を覚えました。
当日は、第1部で、奥野勝利さんというキーボードのパートナーとともに演奏。
抒情歌から、演歌、ラテンまで幅広い演奏で、観衆を魅了してくださいました。
キーボードの奥野さんも、オカリナ演奏で、共演してくださったり、自身の作詞作曲された
メッセージソングのご披露もあったり…と内容の濃いプログラムとなりました。
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もうひとつ、私たちが「ハーモニカコンサート」を企画していたのは、蓄音機で聴く
ハーモニカの名演奏でした。
過去2回、中西久幸さんにSPレコードの演奏を蓄音機で聴かせて頂いていますが、今回は
ハーモニカコンサートで…とお願いしたところ、快くご協力くださいました。
加えて、このコンサートを知られた岡君のハーモニカの先生である、吉村則次先生が
来てくださり、「ハーモニカ」についての種類や知識や歴史、またSPレコード演奏曲の解説
などもしてくださり、思いがけないマニアックなにぎわいとなりました。
SPレコードで録音されたハーモニカ音楽は、復音ハーモニカで、半音が出ない演奏でした。
「名曲」が、半音がでない伴奏がつけられているので、ハーモニーの印象が全然異なり、
「迷曲」となっていました。(笑)時代とともに、楽器の改善や種類も変わり、演奏が
整ってくるのですね。
そして、わずかな時間しかSPレコードの演奏は聞けなくて残念でしたが、その「なつかしい
音色」に親の世代を感じたり、思いがけず子供時代を思い出したり…と地味なひとときと
思いきや、蓄音機で聴くハーモニカ演奏は大きなインパクトがあったようでした。
そして、最後に「生の演奏」を…と岡君に、コンクールなどで演奏された曲をソロで…。
私たち大人をこんなにしびれさせる情感豊かな演奏は、どうして生まれるのだろうか…と
うらやましいような、不思議なような…。
今後の成長が本当に期待される素晴らしい演奏会でした。
高校生で、進路に悩む年頃のようです。分野の少ないハーモニカを志すのなら、私は世界へ
飛び出し、羽ばたくことがいいのでは…と無責任ですが、思います。
世界でもまれながら、ビッグになっていってほしいと願います。それだけの才能がある!
日本のアーチストではなく、世界のアーチストになれる人だもん。
きょうは、記念すべきTSUBAICHIコンサートとなり、本当に「音楽サロン」として、
質の高い、稀少な音楽をみなさまにご提供できたことを心からうれしく思います。
ただし、岡君が下見に来られた時も、きょうのこの日も大雨! 雨男は誰だ!!!(笑)
岡君、今日は本当にありがとうございました。
またの機会をぜひぜひ楽しみにしていますね!!!!!

日豪短歌朗読コンサートを終えて…。

11月13日(日)には、TSUBAICHIプロデユースによるイベントがありました。
そもそもは、奈良女子大学大学院で出会った田中教子さんのお手伝いを…ということでしたが、
構想の企画が行事としてスケールも大きく田中さんお一人で運営するのが大変…という
サポーター役から出発しました。
田中さんは、高校生の息子さんのおられるお母さんですが、病気で休学を余儀なくされ
ながらもご自身の「歌作」のためにも必要と、大学院で『万葉集』研究を続けておられます。
私も奈良女子大学の大学院で、田中さんが復学される頃に出会いました。
さすがの私でもなかなか若い人にもうまく馴染めず、もたもたしていた時に、初めて学食へ
ランチに誘ってくださったのが、田中さんでした。それから大学院では何かとお頼りして
おりましたら、2008年に中条ふみ子賞を受賞され、将来を期待されておられる歌人である
ことを知り、現代短歌にはなかなか踏み込めない私でしたが、少しずつ興味も出てきましたし、
それがきっかけとなり、以後私も奈良女子大の短歌会にも出席させて頂いております(汗)。
田中教子さんの「歌集」について、ユニークであるのは、オーストラリアの翻訳家によって
英訳され、第1集の「空の扉」も第2集の「乳房雲」も、短歌本文と英訳とが記された「新しい」
短歌集が出版されていることです。
そのようなご縁から、田中さんが日常活動をされている「アララギ派大阪学生歌会」の
仲間たちと一緒に、合同歌集「月林船団」で発表された歌を中心にみんなで短歌朗読を行い、
またそれぞれの歌を英訳してお伝えする…日豪短歌朗読会を行われることになりました。
加えて、「左手のピアニスト」として活躍しておられる智内威雄さんに協力をして頂き、
ピアノ演奏をコラボする「コンサート」を行うことになったのです。
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私も気安くお引き受けしたものの、内容が複雑になってくるに従い、プログラムの流れや、
舞台の展開や、出演者が「個々」であることから、時間もなく最後まで本当に心配が
付きまといました。
そして最終的につらつら椿株式会社として、この行事を演出させて頂きましたので、
「社長」の私は、存在感を保ちつつ(笑)、1日がんばって取り仕切りました。
「短歌を作ること」と、声に出して「朗読すること」を体験してみて、練習のときからも
そうでしたが、声に出すと短歌に「表情」や「背景」や「ドラマ」が浮かび上がってきて、
とても面白いのです。短歌が「ポエム」になるというか・・・。
聞いていた私も感じましたが、朗読経験された歌人の方々が、朗読してみて自分の「歌の
完成度」に不満を持たれたり、他の人の朗読を聞いて、文字の歌と違った表情を持つことに
感心されたり、いろんな発見がありました。
また、コラボしてくださった智内さんのピアノは、個々の歌人の「歌世界」を作りだして
くださり…。本当にユニークで面白い、また「歌」の深さを思い知らせる機会でした。
『万葉集』を声に出して朗唱する私たち。まさに言葉が躍りだすような経験をあらためて
させて頂きました。
月林船団の歌人の方々の更なるご活躍を心から願っています。
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当日、オーストラリアから、田中さんの歌を英訳された翻訳家アメリアさんの急な欠席で、
もうお一人のオーストラリア在住の翻訳家でもあり、歌人である小城小枝子さんだけの
来日でしたが、オーストラリアでの短歌普及や、直訳でない英文短歌の試行錯誤や「工夫」
など、興味深いお話を聞かせて頂きました。急遽舞台ではパートナーとして田中さんが協力
してくださいました。
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力不足の私たちに、オリジナリテイあふれた企画を無謀にも演出させて頂き、光栄に
存じております。
これからは、田中教子さんの歌人としての大成も楽しみだし、若き歌人たちの活躍も楽しみです。
サブタイトルの「調べへの回帰」の通り、しみじみ古代から現代に至るまで「歌」と
「音楽性」の表裏一体にあらためて再確認し、感心しました。
田中さんの大学院での教官だった坂本信幸先生も気になっておられたのでしょう。
万葉引率旅行のあと、その足で打ち上げ会場に駆けつけてくださいました。坂本先生も本当に
律儀でお優しい!
それでは、みなさま、お疲れさまでした! 次回は我がサロンで「朗読会」はいかがでしょうか。

宮水学園、パート2

今年はわが町「西宮市」とご縁があり、7月の宮水学園塩瀬教室講座、そして10月の西宮
まちたび博のまちあるき「まんにょう」、そして、11月9日に、宮水学園の本部での講座と、
3度も地元西宮市で『万葉集』に関わるお仕事をさせて頂きました。
4月にコンサートをした大谷美術館も西宮市の施設です。
各地で、万葉うたがたりコンサートをさせて頂いたり、日本の万葉の故地で歌わせて頂く
ことは、本当に幸せだと思っておりますが、また、私が常々地元に対して思っていたことは、
犬養先生が西宮市市民文化賞を受賞された後、西田公園には万葉植物園が整備され、犬養先生
の揮毫による万葉歌碑も建立されました。地域的に『万葉集』とも関わりの深い西宮市ですので、
何とか私も『万葉集』をアピールできないか、地元の方々にお話しする機会はないかと
思っておりましたので、今年は特に多くの機会に恵まれ、ありがたいことでした。
宮水学園では、過去何回かお話をさせて頂いていますが、受講者も変化し、もちろん
担当者も変化しますので、毎回「新たな機会」です。
西宮周辺の万葉歌のご紹介が中心になりますが、やはり古代の人々の「心の厚み」が
ぐっと伝わるような万葉歌をぜひとも知って頂きたく、今回は「祝婚歌」や新年に向けて
「いやしけ吉事」などをご紹介致しました。
このたびは「ふるさと」コースの講座だそうで、先月は薄田泣菫の「西宮と文学」と伺い
ました。100名位の受講生のみなさんはとても熱心に聞いてくださり、うれしかったです。
担当の女性が、『万葉集』を歌われるということで、お琴や三味線で奏でる音楽かと
思っていましたと…あとでの感想。やはり『万葉集』の潜在的なイメージは若い人にでも
そう思わせるのですね。私の歌で『万葉集』の感性をもっともっと伝えていきたいと強く
思ったことでした。
「西宮」も重要な古代の交通路…ということで、受講の方々はご納得頂けたことと思います。
さて、来年も地元「西宮」へのアプローチを頑張ります。
そのために2003年から5年間続けて「西宮」で万葉うたがたりコンサートを自主的に行った
のですが、やはり行政の「よびかけ」がないとむづかしいのかな。ふむ!悩ましい問題だ。

11月3日 国際なら・文化交流フェスタ

フォトギャラリーでは、すぐにご紹介した南都七大寺の大安寺で、万葉うたがたり
コンサートをさせて頂きました。
「留学生を中心とした国際文化交流イベント」として、古代大安寺の果たした異文化交流の
原点に戻り、平成の今も、若い世代の人たちを中心に輪を広げておられます。
当日は、朝から奈良県留学生による料理・舞踊・音楽などの各国文化を紹介したり、
奈良市の国際交流活動の紹介する「市」が立ちました。
私がお世話様になった奈良女子大学の留学生ももちろんのこと、中国・韓国・台湾・インド
その他、アジアの食品・雑貨などを中心に、主催者・担当者・来場者みんなが楽しそうで、
国際マーケットと化した大安寺の境内は生き生きと賑わっていました。
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午後からの上野誠先生の講演と、私たちのコンサートは、本堂を開放して頂き、ご本尊の
前で、奉納コンサートをさせて頂きました。
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「海を越えて」というサブタイトルで、大安寺がかつて果たした役割を意識し、
「遣唐使」をテーマに歌いました。
昨年は平城京遷都1300年の記念年で、「奈良京」には何度も訪れましたが、1年ぶりに
万葉時代とゆかりある大安寺でコンサートの機会を頂いたことを本当にうれしく思いました。
もちろん境内に大伴家持の歌碑もあります。
「うつせみは 数なき身なり 山川の さやけき見つつ 道を訪ねな」20-4468
大安寺は、仏教文化の源流となった、天平伽藍の壮大な寺院であったそうですが、中世以降は
衰えてしまいました。戦後になり地域上でも大事な史跡として復興されておられる中で、
現在は「がん封じ笹酒祭り」が有名になりましたが、がん封じの祈祷に与られる人々が多く
訪れる場所となりました。ご祈祷や、拝観の方々が来られる中、本堂で高らかに万葉歌を
歌わせて頂きました。私も久しぶりの天平美人です。
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夏に下見で伺った時に、河野ご住職のお話で、大安寺の歴史上の役割や交流のあった有名僧の
お話などを身近に聞かせて頂き、とても感動しました。そして、平成のコンサート当日には、
アジアの留学生などの賑わいと、名刹大安寺の誇りというか、「今だからこそ」寺からの発信を!
という気概でしょうか、民間の協力を得ながら努力しておられる様子が随所に伺われました。
主催のnara stagclubは、日独協会とのゆかりもあり、また、大安寺が日独協会の奈良事務局でも
あることから、境内にはリンデンバウム(菩提樹)がいくつか記念植樹されていました。
「菩提樹」はお釈迦さまがその下で悟りを開いたと言われる、仏教国の聖木でもあることから
インド・ドイツを共通して、歌曲「菩提樹」(シューベルト)を、コンサートの最後に皆さん
と合唱しました。
私たち万葉うたがたり会が「歌いたい」テーマが満載だった、「大安寺」のコンサート。
フォトギャラリーでご紹介をしたきり、記事のアップが遅くなってしまいました。
nara stagclubの方々や、河野ご住職さまや奥様、ビデオを撮ってくださった乾さん、
皆さまお世話様になりまして、本当にありがとうございました。