犬養孝先生の万葉歌碑を訪ねて・・・その3

倭は 国のまほろば たたなづく 青垣 山隠れる 倭し麗し
(古事記歌謡 30)

DSCF3521犬養先生の歌碑で、唯一の古事記歌謡の碑がある。山内英正氏によると、犬養先生がご自宅で、興に乗られたときに「古事記の歌も書いてみよう」と書かれたたった1枚の色紙で、山内さんが持っておられたようだ。それが歌碑となったことは、本当に貴重な1枚であった。奈良・春日大社の境内の貴賓館の近くで、駐車場からすぐなのでわかりやすい場所にある。

歌碑の建立者は茨城県の万葉東歌研究会の大木昇さんで、春日大社の花山院宮司と親しかったことで、古事記編纂1300年の直前の平成23年12月に建立が実現した。地元茨城県産の白御影糠目石の碑で、現地から運び込まれ、奉納された。

当日現地に行ってみると、「歌碑」がすでにお目見えしていて、ご招待を受けた私たちは、本殿で奉告祭に与り、その後歌碑の前に移動して、除幕式ならぬ、紙ふぶき?をまく清祓式のみで、通常の除幕式ではなかったことが、とても印象に残っている。記紀万葉プロジェクトの続く奈良にあって、タイムリーなことに、犬養先生の揮毫書による「古事記碑」ができたことに、私は犬養先生の強運を再び思い知らされたようだった。先生すごい!

泉鏡花「お忍び」と中川芳三さんを思う。

10月17日から20日までの4日間、京都の五條会館での娘の劇団「遊劇体」の芝居に、いろんな方々がご遠方からも観劇くださいまして、誠にありがとうございました。
娘もいつのまにか中堅どころとなり、いろんな「役柄」を経験させて頂き、本当にありがたいことです。
私は熱心な娘のファンではありますが、当日まで、役柄や、物語の内容を明確に把握していないので、大変スリリングな期待感いっぱいで出かけます。
今回は芸妓さんの役でしたが、年齢的にも「風格」というのか、貫録と女らしさが加わり、見ている方も安定感がありました。

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遊劇体の「泉鏡花シリーズ」も2002年から上演が始まり、もう12年も経つのかという感慨がありますが、第1回の「紅玉」の時に、犬養先生の教え子で、「松竹」の重役でおられた中川芳三さんが、ふらりと見に来られていました。
中川さんは歌舞伎が好きで、大阪大学の経済学部から、松竹に入社されましたが、そのエピソードは犬養先生が生前よく語られていました。「先生、僕は歌舞伎が好きなので、どうしても松竹に入社したいのですが、どうしたらいいですか」と真剣に悩みを相談する中川青年に、犬養先生が「そんなに松竹に行きたいなら、毎日会社の門の前を掃除して、会社の人々に熱意を伝えなさい。」と話をされたそうです。その後中川君は松竹に採用された・・・と、どこまでが真実の内容かわかりませんが、中川さんはその後松竹で演出家として大活躍をされ、多くの歌舞伎役者を育ててこられました。また奈河彰輔さんと言うペンネームで、戯曲の作家としても活動されました。
「紅玉」の芝居でお目にかかった時に、私の娘が出演していたことに驚かれましたが、その時「僕は若手の芝居を観るのが好きで、時々見に行きます。」とおっしゃっていました。
その中川さんが、10月に逝去され、ちょうど遊劇体の芝居の直後でした。あれから12年・・・。時間の流れが、娘の成長をも実感させてくれたように思います。
中川さんとは、昨年の犬養先生の15年命日祭でお目にかかったのが最後となりました。犬養先生が亡くなられたあとも行事には毎回欠かさずご出席くださっていたことで、中川さんが犬養先生を慕われ、青年時代の「松竹入社」について犬養先生に生涯感謝をしておられたのだと思います。今頃はきっと天国で、犬養先生との再会を果たしておられることでしょう。

さて、遊劇体の戯曲公演も全12作中で、「深沙大王」「愛火」「稽古扇」「公孫樹下」「鳥笛」「日本橋」の本公演を残すのみだそうです。
私も最後まで付き合いたいものです。

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南都明日香ふれあいセンター「犬養万葉記念館」が、リニューアルオープンしました!

カット11月1日のリニューアルオープンに先駆けて、前日竣工式が行われました。
リニューアルした館を祝してのセレモニーです。

明日香村の記念館であり、村の政策の一環としての館のリニューアルですので、まず森川裕一村長のご説明があり、
ご来賓の祝辞を頂いた後、直轄の部署である明日香村教育委員会の田中教育長から、館長として私、そして名誉館長の脇田宗孝先生のご紹介をして頂きました。
緊張の面持ちで就任のご挨拶をさせて頂きました。

そののち、テープカットが行われましたが、もちろん犬養先生の朗唱が合図です。

ともちゃん内輪のセレモニーではありましたが、何かアトラクションを・・・と言うことで、会場の杮落しもかねて、万葉うたがたり会のともちゃんが代表して歌ってくれました。
明日香の曲を3曲と、今、小・中学校の課題曲ともなっている「ふるさと」を熱唱してくれましたが、村長は「ふるさと」が一番良かった!との感想だと聞き、あかんやん、それ!・・・でした(笑)。

 

 

 

愛子さん

犬養先生のご家族を代表して、吉本昌裕さんと愛子さんが出席してくださいました。年を重ねられてもいまだに犬養先生の後見人です。
いつも行事にはかかわって頂き、本当にありがたいことです。図書室の壁がなくなり、犬養蔵書がよく見えるようになった廊下で、記念撮影です。

いよいよ11月1日から連休でもあり、リニューアルオープンの特別開館日と言うことで、新しい空間の利用を実感して頂けるようなイベントを致しました。

次回は、初日の犬養先生のDVD講演会を報告します。