投稿

6月1日、梅雨に入る時期を心配しながら開催された植物講座ウオークでしたが、おかげさまで、さわやかで心地よい散策の一日を過ごすことができました。

このイベントの講師で、ご案内役の馬場吉久さんは、大阪大学の卒業生で学生時代から犬養孝先生の万葉旅行に来ておられました。いつしか「万葉植物」のとりこになって、多くの植物の知識を得たり、また写真を通して楽しんでおられましたが、いつしか、万葉植物博士???に。(笑)

平成12年の犬養万葉記念館開館時から、記念館独自のイベントを始めるに際し、スタートしたのがこの万葉植物野外講座です。

第1回が、平成12年(2000年)10月29日に開催された甘樫丘コース。25名の参加者がありました。その後も馬場さんの丁寧な解説と万葉朗唱。そして優しい人柄も魅力の一つとなり、先日の6月1日の第67回まで、コロナの時期以外は定期的に続けられてきました。

馬場さんのすごいところは、コースを確定するために何度も現地を歩いて下見をしてくださり、おかげで参加者には馴染の「明日香村」でも、村民しか知らないような道や、新たなコースを作成してもらって歩く「明日香村」はいつも新たな発見がある植物講座です。

今回も馬場さん曰く「50年飛鳥を歩いてきたけど、初めて案内した道だ」とおっしゃっていました。

目の前の植物をみんなで見て、知識や感想を言い合うのも楽しいひととき。そして今回は明日香村から橿原市にまたがる香久山の麓を歩きました。

参加者ももちろん初めての方もありますが、長年の常連のファンもあり、今回は24名で歩きました。

「らくいち」でお買い物したり、ソフトクリームを食べたり・・・と個々に過ごしたのち解散しました。

私は気持ちの良い日だったので、帰りはバスで移動せず、明日香村プロガイドの岡本さんと、万葉すみれの会の篠原さんと3人でまず甘樫丘の川原展望台に上り、豊浦を通り和田池のそばを通って、橿原神宮前へ。「お疲れさまでした!」わたし、終日で26000歩歩いていました!!!

次回の植物講座は9月を予定しています。ご参加の皆様ありがとうございました。

 

 

ようやく、みなさまに久しぶりのコンサートをお知らせすることになりました。

「岡本三千代と万葉うたがたり会45周年記念」

『万葉うたがたりコンサート ~摂津・播磨の万葉を歌う~』

日時:令和7年9月3日(水)

開演:14:00(開場13:30)

会場:兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール

兵庫県西宮市高松町2-22(阪急西宮北口駅南改札口すぐ)

料金:全席自由 ¥5,000(前売 ¥4,500)(税込)

お問合せ:Office TSUBAICHI(オフィス ツバイチ) Tel: 090-4863-4981

主催:岡本三千代と万葉うたがたり会・西宮文化協会・阪神南文化振興団体連絡協議会

< コンサートメッセージ >

限られた人生の中で、犬養孝先生(1998年没)に出会えたことが、いまやライフワークとなった「万葉うたがたり」の道を拓いてくださいました。わかりやすい語り口で広く『万葉集』を広められた恩師に続き、私の音楽世界を通して新たな「万葉ファン」が増えることを心から願っています。(岡本三千代)

< プログラム >

- 第1部 -
プロローグ 西宮市市制100周年に寄せて
沫雪の恋ものがたり

- 第2部 -
摂津・播磨の万葉を歌う

< 岡本三千代 >
甲南女子大学にて、万葉学者の犬養孝博士に師事。犬養節の「万葉朗唱」を原点に、1981年より「万葉を歌う」作曲・演奏活動を開始、本年で45年目を迎えた。

< 万葉うたがたり会 >
岡本三千代に共鳴した音楽仲間によって結成された演奏グループ。全国の万葉故地で活動の足跡を重ねている。 上未歩・園田知子・村田道代・山口ひとみ

総合演出:岡本三千代
音楽監督:砂原由季子
演  奏:岡本三千代(keyboad)・砂原由季子(Piano)・柴垣安宏(Sax・Flute)・出納舞香(Electone)・成川昭代(Cello)・西野欣哉(Percussion)

舞台監督:豊嶋幸子
音  響:坂本祐介
音響助手:布施田治朗

リーフレット:本山愛
映  像:阪本敏
衣装協力:山口千代子
制  作:西本正人

(令和7年兵庫県舞台芸術団体フェスティバル参加事業)

犬養万葉記念館
『万葉集』を日本国中に普及させた文化功労者、犬養孝先生(1907~1998)を顕彰した展示館です。昭和30年に阪合村、高市村、飛鳥村が合併した時に、万葉仮名「明日香」の「明日香村」を提案された名付け親でもあります。建物は大正15年南都銀行高市郡岡支店としてオープンした建物を改装して平成12年4月1日にオープンしました。

高岡万葉まつり
富山県高岡市は、古代の越中国。万葉歌人の大伴家持が国司として赴任していた時に、数多くの歌を詠み万葉集中の越中歌壇として有名な場所。犬養先生の「朗唱」が世間で定着し、万葉まつりで万葉集全20巻朗唱の会という、三日三晩続く壮大なイベントが始まり、今年でもう20回目を迎える!毎年、万葉歌手「岡本三千代」と紹介される私!(汗)

高岡市万葉歴史館
富山県高岡市にある日本一の万葉集に関する資料館。万葉関連の書物・論文は国立国会図書館以上。初代名誉館長は、恩師犬養孝先生だった。庭園もすばらしく、立山を臨み、喫茶コーナーでは、あたたかいおもてなしと、可憐な一輪の花に心がなごむ。

因幡万葉歴史館
鳥取市国府町にある万葉歴史館。
今年もヤカタノオオキミの講座があります。

「西の果て」万葉の里~五島・三井楽~
今は、残念ながら道の駅となりました。三井楽町は、遣唐使ふるさと館」を建設して、福江島を誇る古代史の発信基地であったのですが、五島市へ市町村合併されてから、輝きを奪われ、現在の観光情報では、福江島の三井楽地区で希少なレストランとして紹介されています。
無念ですね。「夢よ、もう一度!」

交野が原万葉学級
岡本三千代の講座です。2016年4月からスタートしました。 交野市の「逢合橋」の歌碑揮毫のご縁を得て、何か地元でわたしにできることがないかしら・・・と「万葉講座」の機会を切望しておりました。 交野市に軸をおいていますが、隣接した枚方市の方がアクセスも良いので、枚方市市民会館の1室で「交野ケ原」万葉学級として、開講しています。 みなさんとっても熱心にご参加くださり、講座後は会食も一緒です。

河内家菊水丸さん
音楽サロンTSUBAICHIで「河内音頭を聴く会」が実現し、踊る楽しみとはまた違った、菊水丸さんの「語り」の世界を堪能させて頂く機会を得ました。3回目の今年2013年は、8月30日(金)に夜の7時からですが、「去りゆく夏を惜しんで…」と菊水丸さんからお題を頂き、大手術のあとの「夏本番」を元気に乗り切って頂きたいものです。

三輪恵比須神社
桜井市三輪にある、古代最古の商売の神様で「日本最初市場の神」とも呼ばれて、売り買い商業などあらゆる産業の守護神として信仰されてきた神社です。大神神社という大和一の宮が有名すぎて、地元の住人の生活に密着して大事にされてきた古いお社ですが、住人の高齢化も伴い、人の行き来や賑わいが薄れてきたようです。危機感を持たれた有志のご婦人や、着任されてまもない竹内宮司さんらの熱意に共感して、私も昨年から「万葉講座」を持たせて頂いたり、「ふくみみ福ちゃん」の協力を得て、「TSUBAICHI市」を開催したり…と、ふるさと再考を促すきっかけ作りにいそしんでおります。これは、竹内さんのホームページです。

猪名川萬葉植物園の四季
犬養孝先生の門下生は多彩です。オーナーの木田隆夫さんは、サラリーマン生活を終えられた、定年後にご自宅の裏山と畑に、万葉集に関連する草木花を植栽されはじめ、今や押しも押されぬ私設万葉植物園として、万葉ファンに人気のスポットを提供しておられます。四季折々を即座に楽しめるブログができました。

毎日カルチャースペシャル(MBSラジオウオーク)
2012年は、3月20日に日程が変更しました。30年ぶりのリニューアルです。地図を担当されていたたまづさ(旧ウオーク万葉)も今回から撤退、私たち万葉うたがたり会も出演見送りとなり、番組の形が変わりつつあることを実感します。犬養先生や、扇野聖史さん、松田一二さんの遺志を引き継ぐべく、このイベントを一般参加しながら見守っていきたいと思います。

遊劇体
パンダ王(大熊ねこ)の住まい?する演劇集団。

 

犬養先生が逝去されてからも、犬養先生揮毫の万葉歌碑や関連碑が増え続けていたため、それらを網羅した携帯しやすいガイドブックができないものかと長く模索していた。令和2年に明日香村の万葉歌碑四十基のガイドマップ「明日香村の万葉歌碑を歩く」の作成を契機に、令和3年に「大和の犬養万葉歌碑を歩く」を発刊。その翌年には「西日本の犬養万葉歌碑を歩く」を発刊した。そして令和5年秋に、「東日本の犬養万葉歌碑を歩く」が完成した。これで日本全国にある犬養先生揮毫の万葉歌碑141基と関連碑・設備19ヵ所をご紹介することができた。元号「令和」が万葉集から名付けられたことから、万葉集がより注目を浴びることになり、万葉集を町づくりに利用されるところも多くなった。中でも、大伴家持が5年間越中国守として在位していた高岡市は、コロナ禍の中でもリモートで「高岡万葉まつり・万葉集全二十巻朗唱の会」を続けられたことはすばらしい。また、七尾湾に浮かぶ机島には犬養先生揮毫の万葉歌碑があるが、無人島で風化が進み島への上陸が難しくなっていた。地元の若者たちが「万葉の島 机島磨き上げプロジェクト実行委員会」を立ち上げ、漂流物の撤去、島の清掃から桟橋の整備まで行い、故地の保全と島への上陸が可能となった。引き続き犬養先生を慕い、楽しく万葉の旅ができることをうれしく思う。そして、これらの本がその一助になれば幸いである。

購入ご希望の方は、ホームページ右上の検索マーク右「三」をクリックして表示されたメニューの最後にある「お問い合わせ」フォームより、お客様のお名前、メールアドレス、題名には「購入希望」など、メッセージ本文にご希望の本のタイトル(???編で結構です)と必要数、送付先の郵便番号、住所、電話番号を記載し「送信」ボタンを押してください。

大和編・西日本編・東日本編は各700円。3部作セットは2,000円です。

ご注文を確認させていただきましたら、その旨メールを返信させていただきます。
商品送付は商品数によりますが、郵便局のスマートレター・レターパック・ゆうパケットを利用します。
お支払いは、商品代+送料実費を、指定しますゆうちょ口座振込、もしくは同封します郵便振替用紙にて、お近くのゆうちょATMからのお振込みをお願いしており、その旨商品の発送とともにお支払い方法を同封させていただいております。

みなさまからのご注文をお待ち申し上げております。

犬養孝の万葉歌碑を歩く3部作注文ののご案内はこちら

人生が長くなると、ありがたいことにいろんなことを経験する機会に恵まれる。兵庫県では「全中学生」を対象に、トライアルウイークと称して、阪神淡路大震災、酒鬼薔薇事件をきっかけに、兵庫県教育委員会が「生きる力」と「心の教育」を重視した取り組みの長期体験学習が行われてきた。私の知る限りでは、郵便局や放送局、医院や社会的組織の一員として、また施設などのボランティアや、手芸や手先の作業のグループに参加したりと多岐にわたった場面で、学校から飛び出したユニークな社会体験の機会と理解していた。

今年の初夏の頃、我が家からほど近い浜甲子園中学校の先生からご連絡を頂き、中学2年生で地元の偉人「犬養孝」さんを学ぶことになり、秋には講演してほしいというご依頼だった。私自身はうたがたり活動のみならず、万葉講座もいつのまにか定着し、時々講演のご依頼もあるが「犬養先生について話をしてほしい」という恩師を語る機会は初めてのことで、大変光栄でもあり、意気に感じた。そして昨日浜甲子園中学校の体育館で2年生80余名を前に、地元の偉人としての犬養先生の人生や足跡や、関係の万葉歌も紹介しながらあっという間の1時間が過ぎた。

ご縁を作ってくださった学年担任の山中先生が、「数ある卒業生や、浜甲子園中学校の長い歴史の中で、今年2年生となったこの子たちは、コロナ禍という特別の時期に入学し、入学式も運動場で行うという非常にイレギュラーな学生生活を強いられて、普通に行われていたトライアルウイークも行えないという状況の中、そこを逆手にとってこの子たちしかできない学習ができないかと思案した。」と言われ、その結果「犬養先生」にたどりつかれた経過も伺った。犬養先生、縁の深い明日香村、『万葉集』、西宮の万葉歌と子どもたちの事前の学びも多彩だったと思うが、私も恩師を語り始めるとあれこれ言いたいことだらけで、きっと子供たちには空回りして、あっけにとられたかもしれない。(笑) しかし、犬養先生は「運」を持っておられる。令和決定の時もそう、以後も昨年は明日香特措法40周年で回顧されたり、今年は新聞記事が出たり、今回、地元西宮で子供たちが偉人として学んでくれたり…と、本当に誇らしいことだ。当日の写真が届けば、あらためて掲載しようと思う。

山中先生、松永先生、そして浜甲子園中学校2年生の皆さん、光栄な機会をありがとうございました。

5月から月2回(第2・第4週の日曜日の午後9時~10時まで)2月に開局しました大和高田市のFMヤマトからお声がけを頂きました。コロナ禍で通常のお仕事さえ、休止をせざるを得ないこの時期に、思いがけなくラジオで万葉集のお話をしてほしい・・・とのこと。びっくり致しました。私???
『万葉集』をテーマに「いにしへ人の心をメロディに乗せて」私の作曲した万葉歌の音曲を聴いていただきながら、万葉歌のご説明をしたり、万葉人の世界や真情をご紹介する番組です。番組は私の万葉うたがたりのテーマソングとしております「サンバDEツバキ」という曲で始まります。この歌が『万葉集』?と固定概念を覆すようなリズミカルで楽しく明るい曲なので、やっぱり今回もオープニング曲に決めました。
そして、FMヤマトのご案内には、次のように記していますので抜粋します。。
私は大学で万葉学者、故犬養孝先生と出会ったことがきっかけで、先生の語られる万葉集のお話が新鮮で楽しくてとても興味深い授業であったことから、以来『万葉集』が大好きになりました。「万葉風土学」として学問のジャンルにまで押し上げられた犬養先生と共に、大和はもちろん日本全国に広がる歌の故地を訪ねました。また、古代歌謡は謡われていたということで、先生と共に故地に立つと、犬養先生のオリジナルメロディ「犬養節」に唱和しながら、万葉歌をみんなで高らかに詠うことが「万葉を歌う」1つのスタイルとして定着していきました。
『万葉集』を楽しむ魅力の引き出しは様々あり、故地のウオークはもちろんのこと、写真を撮ったり、万葉の植物を育てたり、また書道の素材となったり、絵画に表現する等など個々に楽しみ方がいろいろある中で、私はオリジナルな作曲を通して万葉歌のドラマを作ることが楽しくなりました。独りよがりの楽しみが、みなさんに聞いていただくようになり、そして歌うときにきままなおしゃべりも添えて・・・というのが万葉うたがたりの出発でした。
ラジオで語るというのは、本当に初めての経験で、ラジオの向こうで「耳を傾けてくださる方々」にうまく思いをお伝えできるかどうかとても不安です。ただ、私自身は大好きな『万葉集』のお話をしているときはとっても楽しくて幸せなひとときですので、学生時代に受けたあの時の楽しさを一人でも多くの方にも体験して頂きたいのです。万葉の世界を知って頂きたい、万葉人の心に共感してほしい、日本人の心情に触れてほしいというのが私の思いです。番組では万葉歌と私のオリジナル曲のご紹介を中心に、雑談もあり(雑談の方が多いかも)どこかで本題から脱線することも多いのですが、それが岡本三千代の万葉うたがたりです。ぜひ楽しんで頂きたいです。5月から始まってはや8回終了。次回は9月12日です。スマホで聴いていただくには、全国ネットのFMプラプラのアプリを取り込んで頂き、そこからFMヤマトのサイトを選んでくださいね。時間は夜9時からで、スタジオの周辺の様子はよくわからないのですが、春には桜が見どころの高田川の傍です。
どうぞよろしくお願いいたします。

去る令和2年11月21日土曜日、「勝負の3週間」と言われた3連休の初日に「岡本三千代万葉うたがたりコンサート」を開催しました。昨年の今日、1月15日に初めて日本でコロナ感染が発覚してから1年。元号が「令和」となり『万葉集』が注目を浴びて、まさに「万葉元年」となるべく1年が、まるで冷凍保存されたまま過ぎ去ってしまったような時の移り行きを私たちは体験しました。
その中で11月のコンサートは唯一残せた万葉うたがたりの足跡でした。コンサートのタイミングは、思いがけない母の帰天があり、またコロナの規制が少し緩和した時期でもあり、悲喜こもごもな中、まさに幸運な「奇跡のコンサート」だったとも思います。
今だから話せることは、
➀きっかけは、8月14日に高岡万葉まつりの動画制作のためにうたがたり会が久しぶりに明日香村へ集まって「万葉歌」を歌ったこと。「楽しい時間」であり、「歌う楽しさ」で気持ちが解放されたひとときだったこと。
➁世間では秋のイベントのキャンセルが相次ぎ、会場のフレンテホールや、西宮文化協会からコンサート開催について声をかけて頂いたことも追い風となり、8月14日の私の心に火がついた。しかし、8月末に11月のコンサート開催の日程を決めた無謀は、ま近すぎてメンバーたちも半信半疑だったと思う。
➂8月7日に母が緊急入院したが、まさか3か月後に亡くなるとは思ってもいなかったこと。
➃規制緩和したといえ、コンサートについてはソフトもハードも背水の陣で準備を進めるたが、私は最悪「中止」は避けたかったので無観客も覚悟の上でコンサートを「DVD」に残すことはその時に決めた。(私でも最悪の場合を考えるのに、政府はコロナ危機の最悪の場合のシナリオは考えられないことが不思議だ。)余談。
➄企画は映像を最大限に使った舞台づくりとし、実際に歌の練習が始まるころには、母の様態が悪化していき、メンバーの知るところ、心配をかけるところとなった。
➅母の様子を気にかけながらの練習はメンバーに大いに気遣いをさせてしまった。そして、ひょっとして「XDAY」が重なれば最後にみんなに迷惑をかけてしまう。それを母が気遣ったかのように最後の全員練習を終えた日の夜、母が帰天した。私のコンサートを前に時間を残して母は逝った。

 そんな中で、開催した万葉うたがたりコンサート「40周年記念」のステージは、無観客ではなく100名の定員で、ご来場くださった勇気あるお客様に心から感謝いたしました。そして終わってみて「どのような舞台だったのだろう」と当事者の私が観客として楽しみにしていたコンサート映像がようやく完成しました。
今回のすべてに準備不足の舞台でしたが、40年のキャリアはメンバーの実力と結束で記憶に残るステージとなりました。役者の娘たちの出演協力や、講談で「犬養孝ものがたり」を聞いていただきました。個性あふれるメンバーのソロステージの圧巻。そしてマンネリが怖かった万葉うたがたりなど、「令和2年」の唯一のステージであり、40周年の機会を映像に残せて本当によかったと思っています。
そして、コンサートにこれなかった方のためにブルーレイで映像を販売させていただきます。よろしければ岡本までお申し込みください。「万葉は楽しい!!!」このことに尽きます。われら「万葉衆!!!」

富山県高岡市は『万葉集』で越中歌壇と呼ばれる万葉故地の1つです。犬養孝先生が全国の万葉故地を歩かれ、執筆や万葉旅行によって多くの万葉ファンが「万葉の高岡」を知るところとなりました。
また、時の高岡市長の佐藤孝志氏(故人)が、犬養先生の協力を仰ぎ、自治体として平成元年より「万葉のふるさとづくり」に着手され、朝日新聞社の第1回「ふるさと大賞」も受賞されました。その間、万葉まつりも規模が大きくなり、三日三晩と言う『万葉集全20巻朗唱の会』という、とてつもないイベントが始まったり、日本で初めての『万葉集』に特化した研究博物館「高岡市万葉歴史館」が完成し、犬養先生のそばで私も当初から拝見したり、関わってきました。そして令和でにぎわった昨年は万葉朗唱の会の30回目、そして今年は高岡市万葉歴史館ができてから30年という節目の年となりました。昨年来の「令和」という万葉ブームの再来?や、次代への期待が高まる中、早々から思いがけなく「コロナ禍」に巻き込まれ、日本中、いや世界中の歯車が狂ってしまうという大変な年となりました。
万葉うたがたりの私個人も、また犬養万葉記念館と言う公共施設も日常を余儀なくされていますが、そのなかで、8月に高岡市万葉歴史館で「30周年記念展~犬養先生の思い出」として、初代名誉館長犬養先生を顕彰して特別展を開催してくださいました。私は行くことができなかったのですが、講座やSNSでご案内をしたところ、「行ってきました」とご婦人が写真をくださいました。おー、うれしい。

また、30年以上続いた「万葉朗唱の会」はいよいよ31回目と言う3巡目のスタートに、新たなスタイルで朗唱の会を実施されることになりました。「動画でつなぐ万葉朗唱」です。企画を聞いた時から現地に行くことができない残念さはありましたが、ポジティブな私は「チャンス!」と思いました。私たち万葉うたがたり会はもちろん、犬養万葉ネットワークで広がった全国の万葉故地の方々や、万葉愛好家の方々をお誘いし、「現地に行けなくても、出演時間にこだわらず、好きな時間、好きな歌の朗唱ができることの身近さ」や「私たちの自慢の万葉パフォーマンスができる機会です!」とお声をかけました。それぞれ時間的に追われて、また暑い時期に衣装を着ることも大変でしたが、いよいよ配信、放映される本番の10月2日が近づくにつれ「朗唱数珠つなぎ!?」への興味は高まり、とても楽しみです。そして、きっとこのスタイルはこれからも残るのではないかと思います。だって、このあわただしさの中で撮られた動画を経験して「次回は!」と反省や新たな意慾から、やる気になられた方々も多いと思います。時間的に余裕のなかった私たち万葉うたがたり会がそうですもん・・・。1発どりだった私たちこそ、反省しきりです。(笑)

犬養万葉記念館も6月1日から通常開館となりました。犬養孝特別展示へのいざない、またあざさをはじめ、ささやかな館庭の初夏の風情を求めてご来館を楽しみにしています。ただ、まだ県外移動は自粛中ですので、今は奈良県内の方々中心のご案内となりますが・・・。若菜祭で断念した令和記念講演会をぜひ実現させたく、再度猪熊兼勝先生にお願いをいたしました。6月20日(土)に開催いたします。ただ、記念館は三密を避けるには会場が小さく集客が限られますので、記念館の定員と同じ40名収容の会場として、明日香村の社会福祉センター内(太子の湯と同所)のかんなびホールを使用させていただきます。ご理解頂いた教育委員会には感謝です。参加希望の方は、(感染経路確保のため)必ずお申し込みをお願いします。
おかも個人も6月からは講座が再開します。各グループの世話役の方々が、会場確保や、会場使用の試行錯誤に追われておられ、本当にありがたく、また再開の期待への責任も感じるところです。肝心の私はステイホーム中、自宅にどっぷり缶詰で過ごしたというより、コロナ以前も以後も変わらぬ実家と明日香村との行き来と、昼下がり通信の作業でそれなりに時間に追われましたので、そこからいよいよ「日常に向けて」の生活に、私自身のモチベーションを高めなければと焦り始めているところです。公私ともにブランクを経ましたが、それが新たなステップになることは間違いなく、(コロナ感染をいかに克服しながらということが最も大事ですが)O型おかも!いつもながら「前進あるのみ!」の能天気で日常へと突破していきたいと思います。

4月1日からの福井県越前市「万葉の里」の越前市万葉館の交流展展示のために、前日から北陸路へ。桜の季節の移動は、明日香村から快適なドライブとなりました。越前市の万葉故地は平成17年の市町村合併までは、武生市でした。犬養先生は万葉風土研究で何度も現地を訪れておられ、著書『万葉の旅』でも紹介しておられますが、味真野地区は『万葉集』巻15の中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌63首によって、注目される場所となりました。昭和55年には当時の笠原武生市長の要請で、味真野苑という庭園整備と共に、小高い比翼の丘を作り、その頂上にお互いが向き合う形で、2基の万葉歌碑が建立されました。地元貢献の恩人である犬養孝先生が宅守、娘子の代表的な歌を揮毫され、庭園のシンボルとして各地からも万葉ファンが訪れる名所となりました。昨年の4月1日は新元号「令和」の発表があり、取材攻勢のスタート日でしたが、4月1日が犬養孝先生のお誕生日でもあるので、今年は偶然犬養先生が大事にされた味真野での第3回万葉故地交流展のスタート日となったことをうれしく思いました。

せっかくなので、比翼の丘に登り、歌碑に向かって「ハッピーバースデーdear 先生!」と大きな声で歌ってきました。先生に聞こえたかな?

日当たりのよい娘子の碑の周りには、おー、つくしがいっぱい生えていました。

宅守の歌碑のそばには満開の桜が美しく、この季節ならではの光景に感動しました。

犬養先生のご意向の「連理の松」の池には早くもシャクナゲが咲き、折しも大事に植栽されている水芭蕉も満開でした。なんとそばにかたかごの花も・・・。
味真野では初めて見ました。
 

越の国の春を満喫して帰宅しました。
不安定な情勢ですが、越前市万葉館は開館中です。交流展のテーマは「万葉の植物を味わう」ですが、皆さんが楽しんでくださり、越前の里、万葉の里の自然により親しんで頂ければ幸いです。