犬養孝先生の万葉歌碑を訪ねて・・・その3
倭は 国のまほろば たたなづく 青垣 山隠れる 倭し麗し
(古事記歌謡 30)
犬養先生の歌碑で、唯一の古事記歌謡の碑がある。山内英正氏によると、犬養先生がご自宅で、興に乗られたときに「古事記の歌も書いてみよう」と書かれたたった1枚の色紙で、山内さんが持っておられたようだ。それが歌碑となったことは、本当に貴重な1枚であった。奈良・春日大社の境内の貴賓館の近くで、駐車場からすぐなのでわかりやすい場所にある。
歌碑の建立者は茨城県の万葉東歌研究会の大木昇さんで、春日大社の花山院宮司と親しかったことで、古事記編纂1300年の直前の平成23年12月に建立が実現した。地元茨城県産の白御影糠目石の碑で、現地から運び込まれ、奉納された。
当日現地に行ってみると、「歌碑」がすでにお目見えしていて、ご招待を受けた私たちは、本殿で奉告祭に与り、その後歌碑の前に移動して、除幕式ならぬ、紙ふぶき?をまく清祓式のみで、通常の除幕式ではなかったことが、とても印象に残っている。記紀万葉プロジェクトの続く奈良にあって、タイムリーなことに、犬養先生の揮毫書による「古事記碑」ができたことに、私は犬養先生の強運を再び思い知らされたようだった。先生すごい!