信州の旅3題(①安曇野)

暑中お見舞い申し上げます。

4月に平城京のいざない館で開催された「アートと万葉歌の出逢い」万葉植物ボタニカルアート展が、巡回展示されることになり、7月16日から8月28日まで長野県安曇野市「国営アルプスあづみの公園」でただいま開催されています。

北アルプス、穂高の麓の安曇野の三郷には、母の義妹の実家があり、平成13年に叔母が亡くなってからは墓参を兼ねて、母や家族と共に2度ほど訪ねたことがありました。その後妹さんが一人で旧家とお墓を守ってこられましたが、叔母が亡くなったころからすでに失明状態で、時々出していた「昼下がり通信」も全く読めなくなったと聞き、コロナ禍を挟んで消息不通になっていましたので、このチャンスを神様に感謝しつつ、早くから予定を立てておりました。ところが間際になってから父の救急搬送や、高岡の動画朗唱準備や、体調不良(ぎっくり腰)などあらたな案件が加わり、かなりタイトなスケジュールな毎日に、ひょっとして信州行きは無理ではないかと内心あきらめムードもありました。背中を押してくれたのは、弟夫婦の支えと犬養先生の「今しかできないことをやりなさい」の言葉でありました。20日から2泊3日の旅。

明日香村の国営公園も地区が分散していますが、それぞれ管理整備は素晴らしく、今日、明日香村を訪問され、飛鳥に感動されるイメージを支えているのは、甘樫丘であり、石舞台であり、高松塚であり、キトラ古墳であり、公園財団の管理、整備のおかげであると言っても過言ではないように思います。日本の公園文化の中で特に歴史的に価値ある飛鳥、平城京も含めての奈良県をはじめ、そして安曇野は北アルプスの素晴らしい自然の保全と活用を今回見て、これからもまさに自然環境の番人であってほしいと強く思ったことでした。

さて、ボタニカルアート会場は、「あづみの学校」と言う木造で、奥には地元の古民家をそのまま模造して民俗博物館的なコーナーもあり、雰囲気のある建物の中でした。また八角?に設計された多目的展示コーナーに整然と展示された様は素晴らしく、作品の大きさの違いがあったり、いざない館では所狭しと展示された感がありましたが、とてもよい展示風景が広がっていました。訪れる人がこの特別展に気づいてくださるように、もう少ししっかり案内表示をしてほしいと思いました。

会いたかった滋子さんは独り暮らしで目が不自由な上に、ほぼ寝たきりの生活をされており、叔母が68歳で逝去しましたが、6歳違いという妹の滋子さんが82歳になっておられ、時の流れを残酷に感じました。旧家の一族が近所におられるので、助けられながらの日々だそうです。ずっと以前の便りでは「三千代ちゃん、裏木戸をたたく音がするから見に行くと熊が来てたの。怖かったわ」などと、自然の共生に驚きもしましたが、それから、10数年、旧家の娘として、家、お墓を守ることからたった一人でずっと生活を続けておられることに胸が痛くなりました。叔母のお墓は実家の坂道を上ったリンゴ畑の一角にあります。後ろ髪をひかれながら退出した後、一人でお参りしました。お花も手向けずごめんなさい。

私の最初のミッションは果たせました。安曇野は本当にいいところです。地球温暖化で、公園内も雪も積もらなくなったそうです。(以前は30センチくらい積もってたらしい)。信州りんごの産地ですが、温暖化で、桃・ぶどうなど生産の果樹の種類も増えたとか。地元を流れるからす川にはニジマスと信州サーモンが泳いでいました。地元ならではの七夕の釣りびなや、落雷から身を守る石窟など、あづみの学校の学びは楽しかったです。(まさに飛鳥の里山クラブですね。)ボタニカルアート展の盛会をお祈りしています。