父の誕生日

10月20日は、美智子皇后のお誕生日の方が有名ですが、実は私の父の誕生日でもあり…(笑)。
五島列島巡礼の旅から、あわただしく時間が過ぎましたが、今朝1カ月ぶりのオルガン
奏楽のお当番で、ようやく所属の仁川教会のミサに与ってきました。
旅で少しお親しくなれた水浦神父様にもお目にかかり、ホッとしました。
2週間のうちにすっかり秋寒の雨の朝となり、家を出てからやっと明るくなったくらい…。
時は流れていきます。
いろいろお祈りすることがありました。
高岡・五島・東京と予定通りにすべてのことがはかどったこと、犬養先生の命日祭を
無事終えて、谷中で報告できたこと、留守中の深堀神父様のご逝去、うたがたりのこと、
今になって信頼関係の揺るいだ私の未熟と無念、体調…と感謝や、お見守りやお恵みを願い、
回心や…とあれこれ抱えての御ミサですが、ちょうど父のお誕生日に教会へ行けたことも
ありがたいことでした。
満85歳になった父、来年も元気でお誕生日が迎えられますように…と心から思います。
教会では10月は「ロザリオ」の月。私のご奉仕した7時ミサのあとは、9時から子供ミサ
がおこなわれますが、きょうは「ロザリオ祭」で、子供たちがかつぐ「マリア様の輿」が
おいてありました。とても華やかで美しい!
しばし見とれていました。
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きょうのクリス神父様のお説教も「マリア様と共に歩んで頂き、神に近づく…」。
聖母マリアは、本当にすべての人々の「お母さん」です。
聖堂にもマリア像が飾られ、ライトアップにはちょっと驚きましたが(笑)、象徴的
だったので、電気も消された聖堂でしたが、写真を撮らせて頂きました。
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では、今から出勤します! 今日はサロンレンタルですが、「発表会」で子供たちの発表
だけでなく、講師演奏もあり、ヤマハ音楽教室の頃の賑わいを髣髴とするような1日に
なります。
いろんな音楽に浸って心の安らぎを得られるのは、本当にオーナー冥利です(笑)。

やっぱり『万葉集』は魅力的!

萬葉学会の感想を少し…。
10月12日(土)初日は講演があり、「乾 善彦先生の万葉集仮名書歌巻の位置」と
       「品田悦一先生の畸形の文法~近代短歌における已然形終止法の生成」を   
        拝聴した。
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乾先生は『万葉集』の仮名を分析され、表記の個性や木簡資料との差異、部立ごとの特徴など、
字母の細やかなお話から、構成、成立論にまで及ぶ考察に、今更ながら「研究の視点」を学んだ。
品田先生は、近代短歌歌人の一人「斉藤茂吉」研究で、すでに著作もおありだが、講演では、
近代短歌に多く見られる疑似古典語法とも言える「文語」に着目され、万葉の言葉を使いつつも
(お手本のようにしながら)その言葉の既成概念からいかにして遠ざかるかという斉藤茂吉
作歌の手法などを伺ったが、元をただせば『万葉集』で見られる文法の形があって、近代の
短歌表現にどのように享受されているかという興味深いお話だった。             
翌日は朝から、研究発表があり8人の方々の発表を伺った。
特に興味があったのは昨年学会に入られたとおっしゃる帝京大学の木下先生で、ご専門は
薬学の方である。昨年の石見の臨地研修旅行でお知り合いになった。
そして、今年早速に発表される題が「日中間で見解の異なる海石榴はツバキ・ザクロの
どちらか」と「海石榴市」にこだわるオカモにとっては大変興味あるものだった。
萬葉学会では初めてパワーポイントが用いられ、資料に加えて花の写真や図などを説明して
くださり、ユニークな発表直後には思わず拍手が起こったほどだ。
私も椿は中国になく、中国へ輸出されて字があてられたというのは聞いたことがあったが、
遣唐使の携えた天皇からの献上品の一つに「椿油」があったことや、中国にはない椿の花に
よく似た「石榴」が、海外から取り入れたものとして「海石榴」という字が当てられた
のでは…とか、また、中国の文献などを参考にしながら、本草学と文学表現から「ツバキ・
ザクロ」の考証を伺い、私も直前にちょうど五島列島へ行き、隠れキリシタンのバラに代る
貴重な花として自生する「ツバキ」の話を聞いたばかりであり、日本古来の貴重な植物で
あったので、花十字として信仰されたことや、三井楽町には遣唐使ふるさと館があるが、
ツバキ油が遣唐使の持参した高級贈答品であったことにひとり感心し、私の中での共通の
話題に驚くばかりであった。木下先生ありがとうございました。
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また、学生さんや万葉学者に交じってUCLAからトークィル・ダシーさんとおっしゃる
米国の研究者が「万葉集巻1・2の歌がほぼ年代別に配列されているか」という、成立論に
ついて発表された。流暢な日本語にも安心したが、歴史とは天皇の言行、言動を中心とした
世界であり、万葉歌の配列がそれによって意図的に編纂されているのでは…と年代順と別の
系譜の論理が働いているのではないか…と発表された。
日本人であってもなかなか理解のむづかしいことを、外国人研究者もこうして日本文学について
研究をされているのだとうれしく思いながら聞き入った。
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その他、宣命の文章が何を参考として作られたかという考察や、人麻呂歌から詠む女性像や
『懐風藻』の序から、編者の知識や教養の出所を中国文献を検索して考察してみる発表や、
古写本の「読み」や歌の配列を検証したり、本当に『万葉集』の切り口というのか、いろんな
角度からの研究対象になり得る引き出しの多い、魅力的な「歌集」なのだと改めて感じた。
私は「万葉愛好家」と自認しているし、客観的に『万葉集』についていろんなことを知りたい
という立場なので、質疑応答で、研究の内容・方法・発表について様々なアドバイスが
なされる様子を見ながら、多様な話題を素朴に聞いて楽しませて頂いた。
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代表の内田賢徳先生のご挨拶にもあったし、私も同世代なので漠然と感じたことだが、
かつての著名な万葉集研究者の引用が少なくなり、それだけ研究も進化したということなのだと
思うが、私も少しさびしく感じた。また、芳賀先生が辛口で今後の研究に対する姿勢として、
文献の扱いや研究の視点をどこにおくか…ということなどを語られたが、個人にではなく、
確かに今の若い人たちには大事なことだと思った。
先人の苦労を思えばコンピューターの普及や資料の豊富さなどで、研究が安易に作業化して
いないか…と実際に思う。
時代を経て、萬葉学会も徐々に変化しつつあるのだろう。
わたしも大いに刺激を受けて帰宅した。やっぱり『万葉集』って楽しい。
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帰宅した翌日、14日の朝、最期の朝顔が咲いて「おかえり」って迎えてくれた。
花の形も変形したいびつなものだったが、とても愛しい。最後までつきあってくれてありがとう!

谷中墓参

9月28日に西宮神社で犬養孝先生の15年命日祭を終えたことは、HPのトップページでも
ご報告した通りです。
そして、ちょうど10月に東京大学で萬葉学会が予定されていましたので、上京の折に
谷中の墓参を楽しみにしていました。
平成10年10月3日がご命日ですので、タイムリーでもありました。
私にとっては上野駅からもはや歩きなれた道です。
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ちょうど3連休ということで、墓地内の各所で「谷中まつり」が行われており、お花見と言い
物見遊山のスポットでもある「谷中墓地」の微笑ましく庶民的な様子を改めて実感しました。
帰りは日暮里から駒込経由、東大前へ。谷中墓地から紅葉坂を下って…。
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東大というのは、4年前に甥の卒業式で、さも親のような顔をして参列しましたが、その時も
犬養先生の「学び舎」を追憶したくて、赤門をくぐったことを思い出します。
昨年2013年の萬葉学会が、東京大学で行われる予定を聞いた時、「萬葉」が東大で語られる
機会が訪れたことと、母校でもないのに懐かしい気持ちがしました(笑)。
ピアノのレッスンで2回東大に来たことも理由のひとつですが…。
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東京大学文学部棟。広い構内で会場にたどり着くまでに、もう銀杏の落ちている銀杏並木を
抜けたり、初代学長の石造の前を通ったり、また、大学の新たな施設建設のために、発掘
調査をされているところもありました。
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レンガの積まれたあとや、井戸など、歴史的遺物のようです。東大は関東大震災でもその後の
火災等で、図書館の書物が焼けてしまったり、資料が消滅してしまったり…と痛手も多かった
そうですが、偶然に持ち出されて唯一残っていた校本萬葉集」の版に用いたと思われるゴム印を
学会当日、特別に公開してくださいました。
会場校としてご挨拶をしてくださった月本雅幸先生が、以上のような話題や、大学図書館の
震災などを経て歩んできた歴史や、残存の貴重な資料のお話など、大変矯味深いお話を流暢に
してくださり、とても印象的でした。
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私は亀井君(東大法学部卒)の大学で合唱の伴奏をするのに、ピアノのレッスンに2度伺い
ましたが、学生会館には、複数のグランドピアノがあり、その時に音大でもないのにすごいと
思いましたが、なんと文学部の教室にもやはりヤマハのグランドピアノが置いてありました。
品田先生の駒場にはパイプオルガンもあるとか。とても贅沢な設備がうらやましい。
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懇親会で、月本先生もドイツで10年ほどピアノレッスンをされたと伺い尊敬してしまいましたが、
東大の男子学生の二人に一人はピアノ経験がある…と聞き、勉学と両立する優秀な子どもたちの
現実?に、改めて東大生は教育環境の恵まれたこどもたちでもあることに羨望がありました。
肝心の学会の内容については…、またあらためて感想を書くつもりです。
谷中で犬養先生と再会することから始まった東京の旅は、帰りの新幹線に乗車する前に親友とも
再会できました。
昨年還暦旅行で帰りに撮った「東京駅」。やはりライティングされて、きれいでした。
私のようなオノボリさんは写真を盛んに撮っていました。もちろん私も!
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「KITTE]という旧東京丸の内郵便局をリニューアルした商業施設で食事をして、つもる話を
しましたが、時間切れ…。また来るね!と約束をして帰途に…。彼女のお誕生日の前日でもあり、
少しでも会えてよかった。
再び東京駅での記念写真です。充実した1泊2日の東京。翌日の臨地研修はキャンセルして、
翌日のTSUBAICHIでのサロンコンサートの準備のため帰宅しましたが、楽しかった!!!
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