高岡万葉セミナーに行ってきました!

高岡市万葉歴史館では、春季と秋季の年に2回、万葉セミナーが開催される。
秋は行事が多いので、なかなか参加できないが、夏のセミナーには、できるだけ参加したいと
ここ数年は時間を捻出して、毎年受講している。
今年は、母の入・退院があったり、土佐旅行や、お盆休みで、サロンを閉ざしてしまった
ばかりということもあり、間際まで思案した。
また、今年のテーマが、「万葉集と環日本海」ということで、5つの講義内容が古代言語、
古代漢詩、日本海文化、朝鮮半島???と、なんとまあ、スケール大きく、硬い、抽象的な
字が躍り、例年のように、積極的に聞きたいという気持ちに、少し逡巡があった。
ただ、7月に高岡市万葉歴史館の交流展をして頂いた御礼も申し上げたく、山寺さんと二人で
高岡へ。
私は「万葉」を学びに、山寺さんは「高岡」を学びに…。
前日から急激に気温が下がり、いつもと違うさわやかな「日」となり、ラッキー。
教壇にはやさしい秋の花が活けてあり。なでしこも可憐だ。
歴史館の庭のひおうぎが美しい。
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犬養先生の歌碑の上に、おっと、ばったくん? 秋の兆し。
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5つの講座は、想像と違いバラエテイに富んだもので、佐藤前市長も「今回は!」なかなか
面白かったですねとおっしゃった通り、風土圏を知る地元の方々にとっては、より興味ある
内容だったのではないかと思った。
私は、藤本幸夫先生の「古代朝鮮語と日本語」についての講義内容よりも、比較言語の
文字・発音・分析などの説明を聞けば聞くほど、感心と同時に「なぜこの研究をされる
ようになったのだろう…」とか、内容よりは、文字文化の共通性を解明される楽しさなどを
想像しながら、聞かせて頂いた。ただ、結論的に「万葉集を朝鮮語で読めること?は
考えられない!」ときっぱりおっしゃったことに、私はすっきりした。
また考古学の見地から、藤田富士夫先生の話された、古代の越中と出雲が類似した状況を
もつ具体例などは、本当に古代小説の世界のようで、また能登半島の地名を挙げてその交流
から推察されたお話は、きっと受講者は光景が目の前に広がっておられたことだろう。
万葉集のご専門の辰巳先生と梶川先生の著作は拝見していたが、講座ははじめてでとても
楽しみだった。
辰巳先生は国学院大学で一般の方の万葉講座もしておられるそうで、東京からそのご婦人の
グループも来ておられた。声色に聴き入り、またレジメの丁寧さと、今回はちょっと先生に
勘違いがあったようだが(笑)、いつも時間厳守の講義は、私の第一印象通り!とご婦人方に
ほめて頂いた。レジメが横書きであったことは、少し抵抗があったけど…。
梶川先生は、パワーポイントを使って、百聞は一見に如かずとばかり、色分けした資料を
使ってのご説明。今、大学生に対してこのような授業形態になってきたのだろう…と感慨あり。
今回私がもっともよかったと思ったのは、平舘先生の「遣新羅使人たちの航路の歌」の講義
だった。大学生の頃から、犬養先生とご一緒に瀬戸内海の各地を訪ねることができたのは、
幸せだったし、背景とともにそれぞれの歌の学びや味わいを学んだことを思い出したが、
平舘先生が、遣新羅使の歌145首の歌群を通して、往復、地名表現などから微妙に変化し、
読み取れる万葉人の「心情」に迫られたことが、私が求めていたのは「これだ!」と、
とてもうれしかった。私は武庫の地に住んでいる。別れを悲しびて詠める歌の「鶴」の声は、
虚構の場面にしろ、雌雄お互いを慕う鳥であることで、切ない別れや、逢いたい思いが
背景に見えている…そのことを思った。
余談であるが、大学院で注釈書もいろんなものを詠み比べたが、伊藤博先生の釈注は、歌群
ごとに、まとめられている「小説」を詠むような楽しさがあり、これはブランク後の新たな
発見だった。
まさに側面史として貴重な資料でもある、この遣新羅使人の歌の詳細な考察に、深く共感
しながら聴き入ることができた講義だった。ありがとうございました。
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山寺さんのドライブと見学のひととき。
山寺さんは、また一味もふた味も違った、高岡周辺の旅を経験したようで、長年高岡市へ
行き来している私が教えてもらったことがたくさんあった。まだまだ未知の高岡の町。
やはり「行ってよかった!」と満足した。そのパワーが、28日の「大伯皇女」のシナリオに
向っている。
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サンダーバードからの夕日。・・・うっとり・・・ひと日の終わりに満足。


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