日豪短歌朗読コンサートを終えて…。

11月13日(日)には、TSUBAICHIプロデユースによるイベントがありました。
そもそもは、奈良女子大学大学院で出会った田中教子さんのお手伝いを…ということでしたが、
構想の企画が行事としてスケールも大きく田中さんお一人で運営するのが大変…という
サポーター役から出発しました。
田中さんは、高校生の息子さんのおられるお母さんですが、病気で休学を余儀なくされ
ながらもご自身の「歌作」のためにも必要と、大学院で『万葉集』研究を続けておられます。
私も奈良女子大学の大学院で、田中さんが復学される頃に出会いました。
さすがの私でもなかなか若い人にもうまく馴染めず、もたもたしていた時に、初めて学食へ
ランチに誘ってくださったのが、田中さんでした。それから大学院では何かとお頼りして
おりましたら、2008年に中条ふみ子賞を受賞され、将来を期待されておられる歌人である
ことを知り、現代短歌にはなかなか踏み込めない私でしたが、少しずつ興味も出てきましたし、
それがきっかけとなり、以後私も奈良女子大の短歌会にも出席させて頂いております(汗)。
田中教子さんの「歌集」について、ユニークであるのは、オーストラリアの翻訳家によって
英訳され、第1集の「空の扉」も第2集の「乳房雲」も、短歌本文と英訳とが記された「新しい」
短歌集が出版されていることです。
そのようなご縁から、田中さんが日常活動をされている「アララギ派大阪学生歌会」の
仲間たちと一緒に、合同歌集「月林船団」で発表された歌を中心にみんなで短歌朗読を行い、
またそれぞれの歌を英訳してお伝えする…日豪短歌朗読会を行われることになりました。
加えて、「左手のピアニスト」として活躍しておられる智内威雄さんに協力をして頂き、
ピアノ演奏をコラボする「コンサート」を行うことになったのです。
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私も気安くお引き受けしたものの、内容が複雑になってくるに従い、プログラムの流れや、
舞台の展開や、出演者が「個々」であることから、時間もなく最後まで本当に心配が
付きまといました。
そして最終的につらつら椿株式会社として、この行事を演出させて頂きましたので、
「社長」の私は、存在感を保ちつつ(笑)、1日がんばって取り仕切りました。
「短歌を作ること」と、声に出して「朗読すること」を体験してみて、練習のときからも
そうでしたが、声に出すと短歌に「表情」や「背景」や「ドラマ」が浮かび上がってきて、
とても面白いのです。短歌が「ポエム」になるというか・・・。
聞いていた私も感じましたが、朗読経験された歌人の方々が、朗読してみて自分の「歌の
完成度」に不満を持たれたり、他の人の朗読を聞いて、文字の歌と違った表情を持つことに
感心されたり、いろんな発見がありました。
また、コラボしてくださった智内さんのピアノは、個々の歌人の「歌世界」を作りだして
くださり…。本当にユニークで面白い、また「歌」の深さを思い知らせる機会でした。
『万葉集』を声に出して朗唱する私たち。まさに言葉が躍りだすような経験をあらためて
させて頂きました。
月林船団の歌人の方々の更なるご活躍を心から願っています。
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当日、オーストラリアから、田中さんの歌を英訳された翻訳家アメリアさんの急な欠席で、
もうお一人のオーストラリア在住の翻訳家でもあり、歌人である小城小枝子さんだけの
来日でしたが、オーストラリアでの短歌普及や、直訳でない英文短歌の試行錯誤や「工夫」
など、興味深いお話を聞かせて頂きました。急遽舞台ではパートナーとして田中さんが協力
してくださいました。
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力不足の私たちに、オリジナリテイあふれた企画を無謀にも演出させて頂き、光栄に
存じております。
これからは、田中教子さんの歌人としての大成も楽しみだし、若き歌人たちの活躍も楽しみです。
サブタイトルの「調べへの回帰」の通り、しみじみ古代から現代に至るまで「歌」と
「音楽性」の表裏一体にあらためて再確認し、感心しました。
田中さんの大学院での教官だった坂本信幸先生も気になっておられたのでしょう。
万葉引率旅行のあと、その足で打ち上げ会場に駆けつけてくださいました。坂本先生も本当に
律儀でお優しい!
それでは、みなさま、お疲れさまでした! 次回は我がサロンで「朗読会」はいかがでしょうか。


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