古城の森

越中の古城の森は、色づきて、色づきて…♪♪♪
つままの梢 秋風にゆれ 渡り鳥行く…♪♪♪
高岡旅情で歌った秋の風情を思い出しながら、万葉まつりの思い出を…。
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初日だけの「高岡」でしたが、かえって朗唱会場である古城の森でゆっくり過ごせたことが、
何よりでした。
あれから、半月以上も経つのですから、もっと紅葉もすすんだことでしょう。
今年の万葉まつりの直前の9月21日に亡くなられた、歌人であり作家である辺見じゅんさんは、
富山県のご出身で、万葉まつりでは毎年招待朗唱のステージで、額田王の歌を朗唱されていました。
BGMにG線上のアリアなどをご自身で選ばれ、額田王の歌を朗詠されていました。
ふるさと富山への愛着が強い方と伺っていましたが、ご逝去の報で新聞紙上では、父上の
角川源義氏に対する「父恋」と言われるほど、お父様が作品の大きなテーマであったそうです。
折口信夫門下の民族学者でもあり、鋭敏な出版人のお父様の衣鉢を継ぐかのように、短歌も
また、戦争に拘られたノンフィクションや聞き書きや、歌誌「弦」の設立も、故郷の文化
活動についてもすべて「遺志を引き継ぐ」意識からであったと記されていました。
来年の春、富山県に高志の国文学館がオープンする予定ですが、初代館長に辺見さんが内定
しておられました。就任後についても、なみなみならぬ意欲がおありだったようでした。
まさに志半ば…と言うべきでしょうか。
亡くなられたことが残念ですが、もうひとつ、9月に高岡市万葉歴史館が中心になって
行われた、「大伴家持巡行の旅、秋の能登路にも参加されるご予定だったそうですが、辺見さんの
直前キャンセルで、みなさんが心配しておられた矢先の訃報だったそうでした。
そして、巡行の旅をあきらめられたかわりに、歌を2首届けられたその歌が、今では辞世の
絶唱のようになってしまったことに、みなさん切なく思っておられます。
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この歌に対して、高岡市歴史館館長でもあり、歌人である坂本信幸先生が追和して詠まれた
歌があります。披露のご了解を得ましたので、ご紹介いたします。
辺見じゅん逝く
 雨風に 揺るるつままの 木のもとに 天を仰ぎし 君が面影
 うつしみの 消えゆく秋の 天の熾 つままの緑 浄らかに立つ 
私も10年以上、朗唱の会の前日に市長を囲んでのお食事会があるのですが、辺見じゅんさんや、
佐藤陽子さんや、中西進先生らとご一緒させて頂いてきました。
物腰や、語り口は静かでやさしい方ですが、おっしゃる内容はドキドキするくらい鋭く、
強い意志のある意見を持っておられ、私など少し「怖い」と感じていたほどでした。
御身体も以前からあまり丈夫ではなくて、よく体調も壊しておられましたので、とうとう
…という感じでした。
22回目を迎えた万葉集朗唱の会。長い時間の歴史は「人との別れ」もいくつかありました。
1年に1度の機会に元気に集えることのありがたさをしみじみ思いました。
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そうそう、最後に旅の思い出を…。毎年来ている古城公園に、遊覧船があることを今回はじめて
知り、100円で体験で乗船しました。
夕方の暮れ時、うすうら紅葉しかけた木々が水面に映り、おだやかな速さで船にゆられて
楽しみました。もちろん私一人で貸切です。
朗唱の会の最中の今は池をめぐることができませんが、普段は大方1週近く船で公園を
楽しめるそうです。きょうの最終乗船客の私は上機嫌で、船頭さんともお話をし、
また来ま~す!とお別れしました。ほっこりと楽しいひとときでした
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駅前も、移設された藤子不二雄キャラのモニュメントがにぎやかです。
来るたびに変化のある高岡の里。来年はどうなってるかな。
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