コロナウイルスの今年は、「桜花」は憩い、癒し、慰め、励ましの花となりました。何年かたってから、「あの時の思い」として瞼に焼き付く今年の桜です。
わざわざお花見をしなくても移動したり、車窓から見る光景だけでも思わずうっとりと見とれるほどの素晴らしい桜花でした。年初から温暖な気候で開花時期も通常より早く、実際の見ごろも早いのではないかと心配されていましたが、雨風の機会も少なく、子供たちの入学式にも間に合い、いよいよ花吹雪が舞い始めるころとなりました。日本人の心がすさぶ中で唯一心が温まる神様からの贈り物だったように思います。
さくらには神が宿るとも言われますが、その魅力は「魔物」のように自粛規制の中、人々を呼び集めてしまい、皮肉な結果でもありました。
私は交野万葉学級という講座で講師をさせて頂いておりますが、きっかけは交野市私部西を流れる天野川にかかる逢合橋のたもとに建立された万葉歌碑がご縁です。揮毫をさせて頂き、2011年7月6日に除幕されました。以来、歌碑は私の分身として犬養先生の全国の万葉歌碑がそうであるようにように、「交野ケ原」が万葉故地として発信され、故地を守るシンボルでありたいと、私にとっても特別な場所となりました。七夕の時期にはイベントがここから始まりますので、開会式にはできるだけ参加をさせて頂いていますが、やはり年間この場所を訪れるのは限られます。歌碑建立にご尽力頂いた毛利さんは、これまでも季節に応じて様子を知らせて下さったり、草をひいたりごみを拾ってくださったり、見えないお世話をしてくださっていました。数日前、いつものように「逢合橋の歌碑と満開の桜です」と写真を送ってくださいました。日々の狭い視野の中で「そうだ、逢合橋の歌碑の桜も精一杯咲いて、橋を通る人たちの心を和らげているのだ」ということに気づき、毛利さんへの感謝と、桜の様子に涙が出そうになりました。大きく成長した素晴らしい桜の姿!
(歌碑建立の翌年の桜の写真がありました。こんなに成長していました。)

兵庫県、大阪府に緊急事態宣言が出ましたが、車で親元へ移動している日常ですので、いてもたってもいられなくなり、昨日足を延ばしました。
桜は散り始めましたが、花吹雪と桜のじゅうたんに趣を変え、私を待っていてくれました。今年もありがとうね。帰宅したころにはスーパームーンの月。
今年の七夕の頃には穏やかに夜空を見上げる時がきますように・・・。心から願っています。


アーカイブ月: 4月, 2020
万葉カレンダー4月の植物は「しの」です。4月1日から越前市万葉館ではじまった犬養万葉記念館との故地交流展のご報告をしたばかりですが、カレンダー写真も偶然に私が昨年越前市の味真野苑で私が撮ったものですので、「4月」と言うタイミングの良さ?にちょっとびっくり。「しの」は小竹・細竹・篠の字があてられますが、竹類であり、しなるような細い竹のこと。春がやってきたので、小竹の梢に尾や翼を触れながらウグイスが鳴いていることです・・・と春の光景の中でウグイスの鳴き声が聞こえてくる歌です。『万葉集』には、林のような竹もあれば、クマザサのようなササ、そしてシノと万葉びとが歌の中で植物の形状をよく観察して使い分けていることに気づかされます。味真野は竹の種類も多く、風の揺らぎ、木のしなり、木々がかすかに互いに触れ合う音など、実際に体感できることが楽しいです。そして鳥の声も・・・。

ただいま交流展では「万葉植物を楽しむ」というテーマで、越前の里の地元で身近にある万葉植物にぜひ気づいて頂きたいと思いテーマを掲げました。5月に向けてこれからは味真野苑でも「ふじ」「しょうぶ」(あやめぐさ)、「あやめ」「ちさ」などが次々と咲き、華やかな季節を迎えます。ゆっくり庭園を楽しめるようなそんな平穏な時期を早く取り戻したいものです。

4月1日からの福井県越前市「万葉の里」の越前市万葉館の交流展展示のために、前日から北陸路へ。桜の季節の移動は、明日香村から快適なドライブとなりました。越前市の万葉故地は平成17年の市町村合併までは、武生市でした。犬養先生は万葉風土研究で何度も現地を訪れておられ、著書『万葉の旅』でも紹介しておられますが、味真野地区は『万葉集』巻15の中臣宅守と狭野弟上娘子の贈答歌63首によって、注目される場所となりました。昭和55年には当時の笠原武生市長の要請で、味真野苑という庭園整備と共に、小高い比翼の丘を作り、その頂上にお互いが向き合う形で、2基の万葉歌碑が建立されました。地元貢献の恩人である犬養孝先生が宅守、娘子の代表的な歌を揮毫され、庭園のシンボルとして各地からも万葉ファンが訪れる名所となりました。昨年の4月1日は新元号「令和」の発表があり、取材攻勢のスタート日でしたが、4月1日が犬養孝先生のお誕生日でもあるので、今年は偶然犬養先生が大事にされた味真野での第3回万葉故地交流展のスタート日となったことをうれしく思いました。
せっかくなので、比翼の丘に登り、歌碑に向かって「ハッピーバースデーdear 先生!」と大きな声で歌ってきました。先生に聞こえたかな?
日当たりのよい娘子の碑の周りには、おー、つくしがいっぱい生えていました。

宅守の歌碑のそばには満開の桜が美しく、この季節ならではの光景に感動しました。
犬養先生のご意向の「連理の松」の池には早くもシャクナゲが咲き、折しも大事に植栽されている水芭蕉も満開でした。なんとそばにかたかごの花も・・・。
味真野では初めて見ました。



越の国の春を満喫して帰宅しました。
不安定な情勢ですが、越前市万葉館は開館中です。交流展のテーマは「万葉の植物を味わう」ですが、皆さんが楽しんでくださり、越前の里、万葉の里の自然により親しんで頂ければ幸いです。



